最大の原因であるのが胚の染色体異常です。日本産科婦人科学会承認施設で遺伝カウンセリングを受け、着床前遺伝学的検査PGT-A（胚の染色体の数的異常を確認する検査）/PGT-SR（胚の染色体の構造異常を確認する検査）を行い、移植胚として正常胚を選択します。

子宮の形の異常

双角子宮、中隔子宮、単角子宮などの先天的な形態異常、他に子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮腔の癒着などがあります。エコー、MRI、子宮鏡で診断することができます。手術が必要と判断した場合には、高次医療機関にご紹介します。

子宮内環境の異常

子宮内膜の炎症の有無、着床の時期が適しているかなどがあります。子宮内膜に慢性の炎症がある場合（慢性子宮内膜炎）には着床しづらくなります。慢性子宮内膜炎の検査には主に見た目で評価する子宮鏡と、細菌で評価する子宮内細菌叢検査（EMMA/ALICE）、病理学的に評価するCD138検査があります。

子宮内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮内腔の癒着、慢性子宮内膜炎の有無を観察します。

子宮鏡検査では子宮内に発赤、マイクロポリープ、浮腫を確認します。また、子宮内膜組織を採取し、CD138抗体で染色し炎症細胞の有無を検査します。慢性子宮内膜炎がある場合、抗生剤による治療をおこないます。

子宮内の細菌のバランスが適切か調べます。子宮内のマイクロバイオーム解析により、lactobacillus、大腸菌、エンテロコッカス、連鎖球菌、マイコプラズマ、クラミジアなどの割合を検出する。Lactobacillus 90%以上占める場合を良好と判断します。

子宮内膜には着床に適した期間があります。これを着床の窓(implantation of window:WOI)と呼びます。まれに着床期間がずれている場合があるため、そのような方の胚移植に最適なタイミングを調べるのが、ERA（子宮内膜着床能検査）です。

子宮内の内膜の一部を採取し、着床時期に関与する遺伝子発現を解析し、ずれがないかを調べます。普段通っていらっしゃるART施設のご自身の移植プロトコルの通りに行います。基本的に以前妊娠された経験のある方は、大きなずれはないと考えられますので、検査は不要と考えます。